確定拠出年金ってなに~iDeCoでお得に節税しよう~
iDeCoに毎月2万300円(年額27万6000円)を積み立てると、その年の所得税と翌年の住民税が5万5200円安くなり、支払った金額の5分の1(利回り20%)が還付金として戻ってくる。
これがiDeCoの節税です。
- 1 確定拠出年金(iDeCo)ってなに
- 2 iDeCoの加入対象者
- 3 金融商品ってなに
- 4 iDeCoは3段階に分けて節税できる
- 5 加入時・運用中の手数料
- 6 iDeCo の加入手続きの流れは
- 7 その他疑問点として
- まとめ
1 確定拠出年金(iDeCo)ってなに
確定拠出年金は「企業型」と「個人型」の2種類がある。
確認になりますが、確定拠出年金とは、毎月決まった(確定)額を出して(拠出)、そのお金をもとに投資信託などの金融商品を運用し、その運用結果に応じて原則60歳以降、毎年お金(年金または一時金)を受けとることができる制度です。
確定拠出年金には、企業が実施主体となっている「企業型確定拠出年金」と」国民年金などを運用している国民年金基金連合会が主体となっている「個人型確定拠出年金(iDeCo)」があります。
会社員の場合は勤め先が企業型確定拠出年金を導入しており、本人がその制度に加入していれば、勤務先があなたの勤務年数などに応じて毎月拠出掛金を払っています。なぜ、会社が払っているかというと企業型確定拠出年金は退職年金制度の一つであるからです。また企業型確定拠出年金に加入している会社員は、会社にの規定で許可していれば、給料から+αの掛金を出すこともできます。これを「マッチング拠出」といいます。
2 iDeCoの加入対象者
第1号被保険者(自営業者・無職・農林水産従事者など)
第2号被保険者
・企業年金がない
・勤務先に確定給付年金しかない
・勤務先に確定拠出年金しかない
・勤務先に確定給付年金、確定拠出年金の両方がある(マッチング拠出をしている人は不可)
・公務員
・第3号被保険者(専業主婦など)
とほぼ全ての人が加入できますが、基本が「自助努力で年金を増やそう」という制度なので、マッチング拠出などですでに自助努力できている人は加入することができません。
3 金融商品ってなに
銀行や証券会社が扱う商品で「元本保証があるもの」と「元本保証がないもの」の2つに大別できる。
元本保証があるものは、「定期預金」などがこれにあたります。
元本保証はないものは、「投資信託」がこれにあたります。
投資信託とは、ファンドマネージャーと呼ばれる資産運用の専門家に託すことをいいます。投資信託には、国内(海外)株式型・国内(海外)債券型などの運用方針が決まっていて、この中からA商品(国内株式)に50%、B商品(海外債券)に50%というような組み合わせを考えて、積み立てていくことになります。
4 iDeCoは3段階に分けて節税できる
(1)掛金に税金がかからない
iDeCoは毎月自動で決まった掛金を引き落とされます。一般的に投資信託では、この掛金に税金がかかります。
例
課税所得が300万円(サラリーマンの平均年収400万と仮定)の会社員が毎月上限額の2万3000円を積み立てると、年間で27万6000円になります。所得税率が10%だとすると、2万7000円分が節税され、年末調整で2万7000円の税金が戻ってきます。
そして、翌年の住民税(一律10%)が2万7000円安くなるため、合計5万5200円(20%)も税金が安くなります。
所得税の早見表
課税される所得(税率)(控除額)
・195万円以下(5%)(0円)
・195万円から330万円以下(10%)(9万7500円)
・330万円から695万円以下(20%)(42万7500円)
・695万円から900万円以下(23%)(63万6000円)
上記の例だと、利回り年20%でしたが、早見表のとおり年収が高いほど所得税率が上がります。つまり、所得税と住民税を合わせて最低15%以上の利回りになり、年収が上がるほどお得な制度となります。
課税される所得とは、
・会社員の場合
総収入-「給与所得控除額」-(基礎控除、扶養控除等)=「課税所得」
・自営業の場合
売上げ-経費-(基礎控除、扶養控除等)=「課税所得」
となります。控除額については、役所で申請すると貰える課税証明書や6月に会社から貰う「住民税決定通知書」等に記載されています。
(2)運用中税金が掛からない
運用中の利益に対し税金が引かれないため、さらに利益を大きくすることができるため、受けとる時まで効率良く運用することができます。
(3)年金を受けとる時にも節税メリットがある
年金にも所得税が掛かりますが、iDeCoでは「公的年金控除」「退職所得控除」という優遇措置を受けることで、所得税が安くなる、または税金が掛からなくなります。
①年金として毎年受けとる場合は「公的年金控除」
65歳未満の人は最低60万円(65歳以上の人は110万円)が差し引かれて税金が計算される。基礎控除が48万円なので公的年金の収入額が65歳未満なら108万円(65歳以上なら158万円)以内なら税金が掛かりません。
<公的年金等にかかる雑所得>
65歳未満
公的年金収入額 (公的年金等にかかる雑所得)
・~60万円以下(0円)
・60万円超~130万円未満(収入-60万円)
・130万円超~410万円未満(収入×0,75-27,5万円)
・410万円超~770万円未満(収入×0,85-68,5万円)
・770万円超~1000万円未満(収入×0,95-145,5万円)
・1000万円以上(収入-195,5万円)
65歳以上
公的年金収入額 (公的年金等にかかる雑所得)
・~110万円以下(0円)
・110万円超~330万円未満(収入-110万円)
・330万円超~410万円未満(収入×0,75-27,5万円)
・410万円超~770万円未満(収入×0,85-68,5万円)
・770万円超~1000万円未満(収入×0,95-145,5万円)
・1000万円以上(収入-195,5万円)
公的年金収入額とは、iDeCo と通常の公的年金を合わせた金額になるので注意が必要です。
②一時金として受けとる場合は「退職所得控除」
退職所得控除の計算式で用いられる「勤続年数」が、iDeCo でいう「通算加入期間」とされます。
退職所得控除計算式
勤続年数 [退職所得控除額]
・20年以下 [40万円×勤続年数](80万円に満たない場合は80万円)
・20年超 [800万円+70万円×(勤続年数-20年)]
例 通算加入期間30年の人の退職所得控除
800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円
退職所得控除額にあっても会社の退職金と合算するので、退職金を受け取っても退職所得控除枠が余っている場合は一時金として同時に非課税で受けとることができる。
5 加入時・運用中の手数料
せっかく節税しても、手数料が高いと損をするのでは?と思っている人のために、何に手数料がいくらかかるのかをご説明します。
IDeCo でかかる手数料
手数料の種類
加入時にかかる手数料
①拠出者の年間手数料 2829円
②口座管理手数料 171円~
③運営管理手数料(信託報酬) 運用管理機関による
となります。
運営管理手数料によっては年間で6000円以上も変わる場合がありますので、申し込みをする際はしっかりと調べる必要があります。現状では、楽天証券、SBI証券等が年金資産額に応じて手数料を無料にしていますので、事前に条件を確認しましょう。また、運用時の手数料(信託報酬)がかかります。これは商品ごとに設定されており、同じ商品でも運営管理機関によってコストはかわります。
6 iDeCo の加入手続きの流れは
iDeCoへの加入は国民年金を払っていることが加入の最低条件になります。
iDeCoは国民年金の上乗せ部分になるので、基礎となる国民年金を納めていない人は加入できませんので、事前に確認しましょう。
(1)掛金の上限は人によって違う
加入資格(上限掛金)
・第1号被保険者(自営業者)(月額6,8万円)
・第2号被保険者(会社員、公務員等)
会社に企業年金がない会社(月額2,3万円)
企業型DCに加入している会社員(月額2万円)
DBと企業型DCに加入している会社員(月額1,2万円)
DBのみに加入している会社員(月額1,2万円)
公務員等(月額1,2万円)
・第3号被保険者(専業主婦)(月額2,3万円)
(2)確定拠出年金の受給可能年齢
通算加入者等期間 受給可能年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1ヶ月以上2年未満 65歳
確定拠出年金は上記のとおり運用期間によって受け取り始める年齢に違いが生じます。例えば50歳を過ぎてから運用を開始した人は、60歳で受け取れない場合がありますので、退職の時期などと照らし合わせて、どのタイミングで、どの受け取り方を選択するかを考えてみましょう。
(3)申し込む運営管理期間を決める
地方銀行や証券会社、保険会社などの運営管理機関で加入することができます。複数の運営管理機関で掛け持ちで加入・運用することはできませんので、取り扱う商品のラインナップ と 手数料の2つを比較検討して加入しましょう。
おすすめの運用会社は
運営管理手数料 商品数
・楽天証券 0円 28本
・SBI証券 0円 49本
運営管理手数料を無料にできる条件があり、商品数も多いので、自分にあった商品を格安で運用できます。
(4)資料を取り寄せよう
気になる運用機関が見つかったら資料を取り寄せましょう。
取り寄せた資料には、
商品のラインナップ、手数料、加入までの流れ、受け取り方など詳細に記載されていますので、気になる運用機関の資料は積極的に取り寄せてみましょう。
(5)運用機関が決まったら、新規加入の手続きをしよう。
① ウェブサイトで申し込み
申し込み完了後、新規加入の書類が送られてきます。
② 申し込み書類の返送
必要書類を取り揃え、運用機関に返送します。
注意点として、
・会社に記載してもらう書類がある
・手続き完了まで2~3ヶ月かかる
ので、余裕をもって加入手続きをしましょう。
③ 手続き完了、各種書類到着
以下の書類が届きますので、大切に保管してください
・個人型年金加入確認通知
・口座開設のお知らせ
・インターネットパスワード設定のお知らせ
④ ウェブサイトの初期設定、掛金配分指定
・ログインパスワードの設定
・ウェブ画面にて、初回掛金の配分をおこないます
⑤ 掛金引落し開始
・国民年金基金連合会から加入や移管が完了すると通知が届きます。最短で通知が到着した月に引落しがされます。引落しの13営業日後に口座に買付した商品が反映されます。
7 その他疑問点として
(1)掛け金は途中で変更できる
(2)途中で引き落としが行われない場合、その月はなかったことになる
(3)途中で加入者が死亡した場合は一時金として支払われる
(4)金融機関が破綻した場合は、手続きすることで他の運用機関に変更できる
(5)収入がなくても、運用中と受取時に節税メリッとがある
まとめ
iDeCo は運用するうえで、将来の蓄えをしつつ節税することで、運用に回す資金も同時に増やすことができます。掛け金も年に一回増減できますので、自分の生活に合わせて設定しつつ、早めに準備することで高い節税効果を得て、将来の蓄えを増やしましょう。