「繰上げ返済」と「住宅ローン控除」はどっちを優先するとお得か?
住宅ローンの繰上げ返済と、住宅ローン控除で減税を受けるのはどちらがお得なの?と疑問に思っている方は多いと思います。
「繰上返済をするなら、早い方ほど利息が浮いて、返済も早く終わるからお得だけど、ローン残高が減ると、残りの期間で受けられる住宅ローン控除がも減るから、結局どっちがお得なの?」という疑問が生まれるのです。
様々なシミュレーションがある中で、一番お得な方法が判明しない鍵を握るのは「借入金利」と「納税額」にあります。
今回は、金利が1.5%と 0.6%の2パターンで、住宅ローン減税と繰上返済、どちらを優先すべきかをシミュレーションしてみました。
はじめに
ほとんどの方はフラット35などを利用して長期で返済するのが一般的です。
ですが、長期で返済を行うと利子の分だけ、総支払い額は増額されていきます。
例
借入金額3000万円 金利1.5 % 返済期間35年の場合
総支払い額は 3857万9100円
借入金額より857万9100円も多くなります。
(金利が0.6%、返済期間35年の場合、総支払い額3326万7360円)
1 総支払い額を減らすために「住宅ローン減税」や「繰上返済」のどちらを優先すべきか
条件
・金利1.5%と0.6%の2パターン、返済期間35年、固定金利
・2019年10月以降に居住用住宅取得
・住宅ローン控除を全額利用できる
・繰上返済は期間短縮型(返済額軽減型より総支払い額が少なくなるため)
パターン1:金利が1.5%の場合
繰上げ返済による利息の軽減効果 |
10年間の住宅ローン控除の減税合計額 | 繰上げ返済と住宅ローン控除を合計したお得金額 | |
---|---|---|---|
繰上返済しない | 0円 | 326万円 | 326万円 |
毎年100万円を10年間繰上げ返済 | 420万円 | 235万円 | 655万円 |
10年後に1000万円を繰上げ返済 | 317万円 | 295万円 | 612万円 |
1年目から毎年100万円を繰上げ返済を10年間続けると、住宅ローン控除の減税額は現象するものの、10年後にまとめて返済するよりも、43万円もお得になることが分かりました。
パターン2:金利が0.6%の場合
繰上げ返済による利息の軽減効果 | 繰上げ返済による利息の軽減効果 | 繰上げ返済による利息の軽減効果 | |
---|---|---|---|
繰上返済しない | 0円 | 317万円 | 317万円 |
毎年100万円を10年間繰上げ返済 | 153万円 | 230万円 | 383万円 |
10年後に1000万円を繰上げ返済 | 117万円 | 287万円 | 404万円 |
金利が0.6%の場合は、毎年100万円を繰上げ返済するよりも、10年後にまとめて返済する方が21万円お得になることが分かりました。
住宅ローン控除は、ローン残高の「1%」分を税金から減らす制度なので、金利が「1%」よりも大きいか小さいかが、住宅ローン控除と繰上げ返済のどちらを優先すべきかのポイントになります。
ただし、これにも条件があります。それは、住宅ローン控除を所得税と住民税で全額利用できている人であること。
住宅ローン控除は、あくまでも納める税金から減額する制度であり、住宅ローン残高の1%がもらえる制度ではありません。そのため、納税額が少なくて、住宅ローン控除の減額分を全額利用できていない場合は、減税の効果が十分に得られないため注意が必要です。
繰上げ返済のシミュレーションは、金融機関のサイトで行うことができますし、難しい場合はファイナンシャルプランナーに相談してみてください。学資保険等の保険に加入していると担当者が計算してくれる場合もありますので、連絡を取ってみるのも良いと思います。
2 繰上げ返済時の注意点3つ
・繰上げ返済の手数料には注意が必要です。
繰上げ返済時には基本的に手数料がかかります。インターネットでの申し込みの場合は無料とする金融機関も増えています。例、三菱UFJ銀行は、ネット申し込みなら無料。電話5500円、窓口1万6500円の手数料がかかります。繰上げ返済時は
事前に金融機関に確認しましょう。
・住宅ローン控除を受ける条件は返済機関が10年以上必要
繰上げ返済を頑張りすぎて、住宅ローンの返済期間が10年をきると、その時点で住宅ローン控除は使えなくなります。
・余裕資金で行いましょう
子供の教育費や親の介護など必要な現金が確保してあれば問題ありません。がコロナが流行したように、不足の事態で現金が必要なこともあると思います。あくまでも繰上げ返済は余裕資金で行いましょう。
3 金利差が1%以上なら、繰上げ返済よりも借り換えがお得
もしも現在の金利水準よりも1%程度高い金利で住宅ローンを借りていて、繰上げ返済を考えているなら、繰上げ返済よりも借り換えを検討してみましょう。
金利2.5%、借入金額3000万円、35年返済の場合
毎月の返済額 10万7000円
総支払い額 4504万円
となりますが、5年後の残高2715万円を、金利1.5%、30年返済で組み直すと、
毎月の返済額 9万3700円
借り換え後の総支払い額 3374万円
当初5年の返済額 642万円
総支払い額 4016万円
となり、当初の返済額から488万円も浮かせることができるのです。
毎月の返済額が減らせるだけでなく、総支払い額に大きく変わるので、検討してみる価値は十分にあります。
まとめ
・住宅ローン金利が高い場合は、毎年こつこつ返済した方がお得
・住宅ローンが低い場合は、住宅ローン控除を受け終わった10年後にまとめて返済がお得
・金利差が1%以上で返済期間が10年以上残っている場合は、借り換えがお得
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