医療費控除を利用するまでの流れを徹底解説!

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怪我や病気、妊娠中の検診や出産時の入院・分娩など医療費は高額になりがちです。補助金や助成金の制度を活用して、なるべく出産にかかる費用を抑えたいですよね。

医療費控除を利用することで、医療費の一部をが還付される!翌年の節税効果もある!ので、この機会に医療費控除を正しく理解してお得に節約しましょう。

この記事では出産についての医療費控除を中心に説明していますが、怪我や病気にかかった費用についても同様の流れになりますので、参考にしていただけたらと思います。

 

 

 
1 医療費控除の対象となる費用

対象となる費用には以下のようなものがあります。
・妊娠中の定期健診や検査にかかる費用
・分娩・入院費用
・通院で利用する公共交通機関の運賃(バス・電車)
・緊急時にやむを得ず利用したタクシー代
・入院中に病院から提供された食事の費用

妊娠・出産に直接関係しているかどうかが費用の対象となる基準です。

これらの出産費用は支払ったことを証明できるよう、領収書をきちんと保管しておきましょう。バスなど領収書が発行されないものについては、メモアプリや家計簿をつけるなどして記録が取れていれば問題ありません。

 


2 医療費控除の対象にはならない費用

妊娠・出産に関わる費用であっても、以下のようなものは対象外となります。
・マイカーでの通院にかかるガソリン代

・駐車場代
・入院中に購入したパジャマや下着などの衣服・洗面用品
・自己都合で個室を選択した場合のベッド代金差額

出産において必須ではなく、自分の意思で購入・利用したものは対象になりません。


3 いくら戻ってくる?~医療費控除額と還付金の計算方法~


(1)医療費控除の計算方法


医療費控除額は

医療費控除額 = 支払った医療費の合計 - 保険金などの補填額の合計 - 10万円

が基本式となります。

 

例 検診から出産までにかかった費用が60万円

  補填額が出産育児一時金が45万円の場合

 

支払った額60万円-補填額45万円-10万円

=控除額5万円

 

 支払った医療費には、同一生計で生活する家族の医療費も含まれますので、家族の中で大きなケガや病気があった場合は、その治療にかかった費用も合わせて確定申告しましょう。

 

(2)保険金などの補填額

出産時に支給される出産育児一時金、帝王切開などの医療行為にあたる手術が行われたときは、高額療養費制度や医療保険による補助がこれにあたります。


(3)還付金の計算方法


 還付金の計算方法は
   還付金額 = 医療費控除額  ×  所得税率

が式となります。

 例 医療費控除額が5万円で課税所得が300万円の場合

  控除額5万円 × 所得税率10%= 5000円

 となり、5000円が還付金として戻ってきます。

 

 所得税率は確定申告を行う人の所得額によって異なるので、下記を参考にご自分の税率を確認してみてください。
課税対象の所得金額      所得税率
195万円以下下             5%
195万円超・330万円以下        10%
330万円超・695万円以下      20%
695万円超・900万円以下      23%

900万円超・1,800万円以下        33%
1,800万円超・4,000万円以下     40%
   4,000万円超         45%

 所得税率は一律ではなく、所得に合わせて高くなっていきます。

 世帯内でより所得の大きい人が確定申告することで、還付金も大きくなります。

 

4 出産費用を確定申告するまでの手順

 会社員、公務員の方は会社の年末調整のみでは医療費控除を受けられないので、税務署に行き確定申告をする必要があります。ここでは出産費用の医療費控除を確定申告する流れを確認していきます。


(1)あらかじめ準備しておく書類


確定申告に必要な書類は以下の通りです。
・確定申告書
・医療費の領収書や家計簿等の記録
・源泉徴収票
・マイナンバーカード又は通知カード
・身分証明書のコピー

<確定申告書>

確定申告書の様式は国税庁のWEBサイトから印刷することができます。
入力フォームに直接入力する場合は入力後に印刷するため、事前に準備しておく必要はありません。


<医療費の領収書や記録帳>

医療費の領収書やメモの記録などは提出用の明細書を作成するために必要です。
明細書の様式も国税庁のWEBサイトから印刷できるので、先に準備しておくと効率的です。

原本の提出は不要ですが、5年間は自宅で保管しておくことが義務付けられていますので捨てないよう注意しましょう。

 

平成29年分から医療費通知を添付する場合、下記3項目を記入すれば病院ごとの支払額を個別に記入する必要はなくなりました。

 (ア) 医療費通知に記載された医療費の総額
 (イ)(ア)に記載された医療費の額のうち、

     その年のうちに実際に支払った総額

 (ウ)(イ)の医療費のうち、生命保険や社会

    保険などで補填される総額

 


<源泉徴収票>
源泉徴収票は年末調整が完了した際に会社から受け取る書類です。

確定申告で提出する必要があるので、失くさないようにきちんと保管しておいてください。
共働きをしている夫婦の場合は、それぞれの源泉徴収票が必要となります。

 

<マイナンバーカード又は通知カード・身分証明書のコピー>
マイナンバー通知カードと免許証など身分証明書のコピーは本人確認書類として同封が必要です。

 

この他、還付金の振込先となる口座情報の記入や捺印が必要となる箇所があるため、通帳など口座番号が分かるものと印鑑を合わせて用意しておくとスムーズでしょう。

 

(2)医療費を集計する

準備した医療費の領収書や記録をもとに、病院・薬局ごとの小計を出し、明細書を作成しましょう。
事前に国税庁のWEBサイトから印刷したものを利用するのが項目も分かりやすいです。妊娠・出産にかかった費用はもちろん、同一生計の家族にかかった治療費なども対象となります。


(3)確定申告書の作成

医療費の明細書や源泉徴収票の金額を記入して確定申告書を作成していきます。
国税庁のサイトを利用している場合は順を追って作成すると、簡単に作成できます。

書き方や計算方法が分からない場合は税務署の窓口などで相談に乗ってもらうことができます。

きちんと税金を支払おうとする人には、税務署の職員はとても親切に説明してくれますので、困ったら気軽に相談してみましょう。

 

(4)印刷・必要か所への捺印

確定申告書が作成・印刷できたら、最後に必要か所へ捺印して完成となります。
明細書や本人確認書類を同封して管轄の税務署へ郵送または直接持ち込んで提出しましょう。

郵送の場合は控えの返送が必要になるため、返送用封筒と切手の同封も忘れないように注意しましょう。

 

5 還付金が振り込まれる時期

確定申告は毎年期間が決まっており、2月16日~3月15日の間で手続きをする必要があります。
還付金の振り込みは確定申告後1か月~1か月半程度かかるので、早めに還付金を受け取りたい場合は確定申告も早めに行うと良いでしょう。

 

まとめ

医療費控除の申告は過去5年分まで遡ることが可能なため、この記事を見た後でも医療費控除を活用できる可能性があるので、5年以内の医療費を調べてみましょう。クレジットカード等の明細も使用することができます。

医療費控除は医療費の一部が戻ってくるだけでなく、翌年の住民税も安くすることができる家計にとても優しい制度です。

医療費の領収書、明細を日頃から管理しておき、医療費が多くかかってしまった年は確定申告をして支出を減らしましょう。